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Channel: 妙観堂つれづれ日記
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因果の理を繋ぐのは「縁」 Sさんとの思い出②

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Sさん「恥ずかしい話なんですが、実は先代のご住職に自分が死んだときにと葬式代を預けてあるんだが返してもらえないでしょうか?生活が大変なもので」
との事でした。私「わかりました、一度お寺に帰り確認し、お返しできるように手配をします。確認が取れましたら、連絡を致します。気を付けてお帰り下さい。」
帰寺をし、Sさんの話を確認、10年ほど前にご家族と離別されたときにお預かりしていることを確認。Sさんに連絡「葬式代としてお預かりしています、ただ以前に半額をお返ししていますとの事ですが、間違いありませんでしょうか?何時でもお返し出来ますので如何しましょう。」Sさん「間違いありません半額は返して貰いました。近いうちに頂きに上がります。」私「送らせて頂きますよ?」Sさん「いいえ、話もありますので行きます。」私「了解しました、無理のないようにして下さい、ご遠慮なく。連絡をお待ち致します。」
それから半月ほど後にSさんが再び来寺されました。今回は甥っ子さんと云う方と来られ、「お恥ずかしい限りで、申し訳ありません。」
「いいえ」と私、用意させて頂いた「お預かりしていた葬式代」をお返し致しました。
すると暫くの沈黙、何とも気まずい時間が、Sさんが「このお金を返して貰うと自分の葬式はして貰えなくなるんですね?」とかなり悩まれたご様子。(で、わざわざご自身で出向いて来られたと)
私「いいえ、私が住職になり私で良いとSさんが、仰るなら勤めさせて頂きますが。」
Sさんが座り直されて「宜しくお願いします。本当ですか?」
私「一応、戒名(注①)を持つ僧侶の端くれですから嘘は申しませんと思いますが?」
Sさん「思いますがは面白い、是非宜しくお願いします。でどの様にしたら?」
私「名刺に何かあれば連絡をして頂くように書いておきましょう。万が一の場合にお使い下さい。」とお渡ししました。
Sさんのお顔は来寺された時と一変され、明るい顔となられ以前お会いしたときのような近所のお寺さんか総代さんのようにならをされて、甥っ子さんと共にお帰りになられました。
翌、昭和58年4月法類・組寺(お寺の親戚のような方)と檀信徒総代(単位宗教法人の役員)の推薦をいただき無事に一宗より代表役員・住職の辞令を頂く事になりました。
長男の誕生等で、バタバタとした年でした。Sさんの事も申し訳ありませんが何処かに、の一年でした。
翌、昭和59年節分のあと「東雲寺さんでしょうか?Sさんをご存知でしょうか?名刺をお預かりして電話をしているのですが。」と東京のE区の民生委員の方からのお電話でした。

   つづく

 注① 僧侶・仏教者とは戒律を受けて戒律を保てるように日々、精進・努力をする者・
戒で、一般で著明な物では不殺生戒、不偸盜戒・不妄語戒・不綺語戒・不両舌戒等々僧侶は十重四八軽戒と言われています。御在家の皆さまは三帰戒・五戒等。宗派で違いがあります。
この戒を受けることを授戒会と云い、この時に佛弟子になった名前を「戒名」と言います。
この授戒会を催すのに必要な費用を均等に受戒される皆さんにご負担頂くのを戒名料と言います。ちなみに当寺での小衲住職「昭和58年晉山記念の授戒会」では5万円をお預かり致しています。準備や授戒道場の用意、高徳な僧侶をお迎えし、延べ僧侶数50名程度、記念の経本・輪袈裟・珠数・笈摺・食事代等々の授与品等の費用を含む





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