20年前、伊吹山に「心の道場」をと思い立ち、山頂に多くの皆様のお力添えで『覚心堂』を建立して 早くも10年の歳月を重ねました。 ちようどその頃、姉川上流、丹生ダム建設に伴って水没することになっていた 尾羽梨の長福寺、鷲見の西念寺と出会いました。この山間の地で今から200年も昔、 本堂建立を願い、建設に命を懸けた人々……。 電気も、機械もない当時、いかに大事業であったことか。 訪れたお寺の一本一本の用材から、『生きているよ、生きていたいよ』と 呼びかけられたように感じ、建設にかかわった、 何百人何千の人々の叫びが聞こえたような気がしたのです。 このお寺にしみ込む生命を生かす手だてはと考え、 伊吹町上野字地蔵の地とし、区長様をはじめ、諸縁の人々の理解、協力をいただき、再建できました。 お寺の再生(リサイクル)でしょうか。一度は死に瀕した長福寺・西念寺、 そしてかかわった多くの人々の御魂が、生命がともに伊吹の山麓に蘇ったのです。 参拝の方、登山される方、そして地域の方に、この再生した寺の意味するものを知っていただきたく思います。 |